一度は経験して損はない。
ユーザー車検、やってみなはれ!!!
新車時3年。その後は2年に一度、クルマに乗る限り受けなければいけない車体検査。略して車検。果たして、クルマユーザーと車検。一体、どのような位置関係にあるのだろうか……。
車検が切れるとクルマに乗ることが出来なくなってしまう。検査というけれど、どんな検査をして「合格!」となるのか。それはそれとしてユーザー車検に挑戦してみた。
検査とか試験とか、受かるか、落ちるか。この辺りのところがどうしても心配になる。
「これでは車検に受からない」とか「これじゃまずいぞ、改造部分を元に戻さなければ」と、車検を受ける前には様々な情報が飛び交うもので、車検を受ける本人は頭の中が大混乱状態になってしまう……。
「それってクルマの検査なのよね、詳しくはないけど主婦としては出費が気になるところだけど、クルマが使えないのは不便だし!」
「昔、そうね2、30年前のクルマなら色々な問題もあっただろうけど、今のクルマって世界が認めた日本車だからな……」
なるほど、人それぞれに考え方や諸事情は大きく変わっている。
「車検って、車体の検査のことでしょ。何をどうするの?」
車検に関して周囲の人間、友人に聞いてみるとその答えは様々だった。誰も詳しいことはわかっていないということだけはわかった。
と、いうわけで、今回は「車検」という行事に注目してみた。
クルマとマニアックに付き合っている人。クルマは実用だと割り切っている人。それぞれクルマに対する思いやりや思いこみは違っているものである。
「ナンだ、カンだ」と言っても新車購入から3年目で最初の車検。その後は2年に一度、車検を受けなければいけないキマリがあるのだ。
大昔のクルマなら、車体をじっくりと検査する必用もあるだろう。しかし、技術的にも性能的にも世界一と言われる日本のクルマ。果たして「検査」なのか。「整備点検」なのか、その差がわからないというユーザーも少なくはない。
車検というのはどういうことなのか。
少々、掘り下げて「車検」を考えてみたのである。
「あんなものは面倒だ……」(友人A)
「そろそろ制度を見直すべきだろう」(友人B)
「一体、どういうところを検査するんだ?」(友人C)
「お金、かかるのよ……」(女友達・主婦)
「いやだ、来月よ、車検!」(女友達・バツイチ独身)
「なんなの、あれって?」(女友達・再々婚直後)
古くからの友人、男、女。それぞれ18歳で免許を手にして以来、クルマと付き合っている連中である。そんなクルマ好きの友人を相手にして車検の話を聞いた。
結論から言えば一般的なユーザーの多くは車検という制度をほとんど知らず、少なからず疑問を持っているということがわかった。
特に最近ではガソリンにかかる税金が新聞、テレビを賑わしているし車検のたびに支払う重量税や1年の一度の自動車税。税金に敏感な女友達の主婦はクルマにかかる税金には神経質になっていた。
しかも、本当に検査が必用なのかと思うほどクルマは使われていないし、その証拠に走行距離にしても5千キロにも満たないほどとなれば「ナンのための検査か?」と疑問を抱くことになる。
日本のような車検制度のない国で日本製のクルマが見事に使い倒され、元気よく走り回っている姿を目にすると、いくつもの「?」マークが頭の中に浮かんでは消える。
「車検はあって当たり前!」と、いう人もいれば「ちょっと制度を変えてみたら……」と、考えている人もいるはずである。
「車検って、どういうことを検査するのかなぁ?」と、このように思っている人は少ないくないはずである。
車検の検査内容はどんなものか……。
車検はどんな検査をするのか、これが一番気になるところだった。
予備知識を仕込むために、インターネットで「ユーザー車検」を検索すると、随分な数と情報がアップされていた。そんな中で目に止まったのは『車検は検査で落とすための制度ではない……』と書かれた部分だったのである。
「そうか、それならなんとかなるかも知れない!」
車検場に到着して、右も左もわからない。そこでいわゆる代書屋で、ユーザー車検を受けにきたことを告げ、話を聞いた。
最初に申請書を依頼し、自己賠償保険。自賠責と略称で呼ばれる保険料金。それと重量税。このふたつを支払わなければ、車検のスタートラインには並べない。
自賠責と重量税の二つは車検手続きの申し込み時に代書屋で支払いが行える。その上で車検手数料。。。を支払えば、これでいよいよ検査が行われるラインに並ぶ。
そしていよいよ、車検が行われる車列の後ろに並ぶ。順番にじわじわと高速道路の渋滞のように前に進む。
建て屋に近づくと、係官がクルマの前に立つ。
「ヘッドライト点灯。上下に切り替えて!」
そんな指示が飛ぶ。
具体的な検査内容はランプ類がしっかりと点灯するか、その検査から始まった。
それが終わると方向指示器の点灯、右、左。それと・・・・・。
ワイパーの作動、ワイパーウォッシャーの作動。
ブレーキランプにバックアップランプの点灯。
これは、流れ作業の中で審査員の指示に従って行う。
いよいよ、メインの検査が行われるであろう建て屋の中に入る。
スピードメーターの正しい作動を検査。タイヤが正しい回転と動きをしているか、ヘッドライトが正しい照射をしているかの検査。
フットブレーキと駐車ブレーキの作動検査。
正しく働いていれば、それで審査はパスする。
そしてエンジン排ガスのチェックと、クルマの下回りオイル漏れやその他のオイル漏れの検査をして、車検は終了する。
すると、最後の最後に2年後まで有効という証、車検ステッカーを渡されるのだ。
「車検って、随分と呆気ない。想像していた以上に簡単だった……」
これが初めてユーザー車検というクルマの持ち主が、自ら自分のクルマを車検場に持ち込んで受けた車検を受けた、その印象だった。
ユーザー車検の結果を友人5人に報告した。
「あまりにも呆気なくて、ちょっと驚いた!」と、その時の印象を話す。
敏感に反応したのは「いやだ、来月車検!」と言ったバツイチ独身の女友達。
「お金がかかるわ」と言っていた主婦の女友達は、詳しく手順を教えろ、私、ユーザー車検を受けてみると言い出したのである。
彼女のクルマは1,6リッターの4ドアセダン。自己賠償保険・・・・・と重量税・・・・・・。
それに代書代。もし、予備検査を依頼するなら平均的な価格は程度にもよるが4、5千円程度だと聞いた。
となれば、彼女はこれまでの料金を旦那に言って、ほぼその半額で済むユーザー車検を受けるのだろう。
「半日もあれば、こと足りるって言っていたわよね……」
そういいながら、インターネットを眺めていた。
※
そして3週間が過ぎたころ、女友達から連絡があった。
その手順はすべてインターネットが教えてくれたと上機嫌で話しをした。
緊張しっぱなしだったけれど、言われることに素直に従って検査を受けたら、何も文句を言われず車検が取れたと、うれしそうに喋った。
車検を受ける日の都合をつけて陸運事務所に予約を入れる。予約した日の前までに洗車をしたり、予備車検を受けて車検の臨んだそうだ。
「検査するクルマの列に並んでから1時間はかからなかったわ!」
どうやら、それまで旦那任せだったクルマ。これからはしっかりと彼女の役割となったらしい。
しかし、車検を取った後はすべて自己責任であることを忘れてはいけない。
ユーザー車検の問題はここにある。あくまで自己責任、これを肝に命じておかなければならない。
車検整備、つまり車検を受けるための整備点検にかかる費用が高いか安いか。ユーザーにとってはこれが一番気になるところだ。
クルマで旅に出た、その先から絵はがきが届くようになった。
腐れ縁とでもいうのだろうか。中学の同級生の女友達とは長い付き合いになるだろう。 |