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彼らの情熱に日本は負けていられない……。
チャランポン・ポルマライ……。冗談のような名前に一瞬、たじろいだ。ところがどうして、タイ人ライダーの走りは熱く、鋭かった。
チーム・タイ・ヤマハは全員がレースに集中。
東南アジアのモータースポーツ熱を肌に感じることができた。「日本も負けてはいられない」と、そんな気分にさせられた一日がった。
去る5月31日。富士スピードウエイで開催されたMCFAJクラブマンレースに、タイヤマハからチャランポン・ポルマライ選手がエキスパートジュニア600クラスに参戦した。ポルマライ選手は東南アジアで開催されているアジア選手権シリーズで活躍しているタイ国内トップライダーであり、今シーズはアジア選手権シリーズでチャンピオンに最も近いライダーでもある。
今回、MCFAJ主催のクラブマンレースに参加したのはヤマハオートバイの生産国であり、自分がレースでライディングしているR6をレース仕様にチューニングしているMHプロジェクトとともにレース参戦を果たす目的もあった。
今回のクラブマンレースにMHプロジェクトが用意したヤマハR6はエンジン、駆動系以外、サスペンションを中心にレース用チューニングしたものだ。
ポルマライ選手は世界的にも有名な富士スピードウエイを経験したいというポジティブな気持ちでレースに臨んだ。
堂々のレース展開と積極的な走りで600ccクラス圧勝。
レース開催の前々日は雨天の中で練習走行、前日はドライ路面の中での練習走行と予選をこなし、予選タイムは1分49秒998と600ccクラスのコースレコードを叩き出し文句なしでエキスパートジュニア600クラス1位を獲得。
「大して走り込んではいないんだ。それなのにコースレコードとはね!」
タイのヤマハチームを日本に連れてきた往年のライダー、岩尾選手は驚きを隠せなかった。
決勝当日、レース前のフリー走行でも、一緒に走るエキスパートジュニア1000クラスに約2秒落ちのタイムをマークした。
午前10時30分。エキスパートジュニア600、1000クラス8周のレースはスタートした。ポルマライ選手は勢いよく飛び出し、1000ccクラストップタイムのマシンに喰らいつき第一コーナーへ。第一コーナーから最終コーナーまでの間で差を詰めるものの、富士スピードウエイの長いストレートでは1000ccクラスが優勢。周回を重ねるごと、1000ccクラスにラップされる。しかし、600ccクラスではダントツの走りを見せ同クラス2位のマシンに20秒近い差をつけてチェッカーフラッグを受けた。
レース終了後、一問一答。
Q:世界でも有名な富士スピードウエイを走った印象は?
A:コースが綺麗で、長いのが印象的だった。それにコースの複雑さはもっと走り込まな ければわからない。いい勉強になった。連続コーナーやバンクのコーナーは特徴的だと思った。それにサーキット路面は施設も綺麗でいい。
Q:マレーシアのセパンサーキットでもレースがあるででしょ。あそこも長いけど?
A:コースは長いけど、アジア選手権のときは半分のコースを使うから短い……。
Q:レースの2周が過ぎたころから、ラップタイムが上がらなかったけれど?
A:1000ccクラスの相手にならないとわかってから安全を考えてレースを楽しんだ。アジア選手権が開催される以外のサーキットを走れたことはいい経験になった。今度は鈴鹿サーキットを走ってみたい……。
ポルマライ選手はバイクを降りると、普通の若者である。まさか、戦闘的とも思えるレースをする人間には見えない。
今回、チームメイトでもある前年度のチャンピオンも同行していたが、前チャンピオンは手首を骨折し、レースには参加できなかった。次回は2人揃って日本のサーキットで熱のこもったレースを展開してくれることに期待したい。 |
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