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第3回 スポーツカーなのか、それともSUVなのか?マツダCX−7
シャープでクイックなハンドリングを持ったCX−7はまさにアメリカンチックなスポーツSUV。
性能を堪能するには、日本の道は狭すぎるかもしれない。
テレインレス、クロスオーバーSUV マツダCX−7
RX−8似のフロントビューにちょっと腰高のシルエット。SUVとはいうが、その雰囲気は異質。まんまアメリカン趣味にまとめられたボディスタイルは印象的。開発主査の話しによれば、CX―7の「C」はクロスオーバーの意味。「X」はスポーツカーに与える称号だそうだ。全長4680ミリ、全幅1870ミリ、全高1645ミリのボディはチョイ悪顔のデザインとともに迫力十分。ホイールベースは2750ミリ。装着タイヤは235/60R18。実に堂々としたSUVだ。ただ、眺めているだけではこのクルマのよさは楽しめない。
運転席に腰を下ろすと、高めのアイポイントが遠くまで見渡せる視界の広さにSUVの片鱗を感じさせる。「さて、走ってみるか」まるでクルマが誘いをかけてくるような、そんな雰囲気がある。フロントがアテンザをリヤがプレマシーがベースになっているというが、走りだして感じる印象はまるで別物。「どこがアテンザでどこがプレマシーなんじゃい!」思わず、そういいたくなる。
SUVカテゴリーとはいえ、マツダのこだわりはサスフィールで感じとれる。発進から低速でズルズルと市街地を走るクルマの流れで走ると、やたらとゴチゴチと硬さだけがダイレクトに室内に伝わり、お世辞にも快適とはいいがたい。速度でいうなら30km/h近辺だ。だが、それ以上の速度域に達するとゴチゴチとした不快な乗り心地は消え、速度が上がっていくに従い、スポーツカーとしての部分が顔をのぞかせてくる。オーバー70km/hの領域では味わいは一変、SUVとはいえない。スポーティさが剥き出しだ。コーナーではロールも制御され、攻めの走りが楽しいクルマへと変貌。 「おやまぁ、スポーツカーではないかい……」 なるほど、SUVではあるがSUVではないことも身を持って体感できる。アテンザ譲りのAWDシステムは、かなりSUVを意識したチューニングだ。コーナリングではSUV的な駆動配分を顕著に感じる。四駆乗りがいうところの「アンダーがでても、アクセルを開けておけ」というあの感覚である。
四輪にバランスよくトラクションが伝わると、そこから鋭いダッシュを見せて、吹っ飛び感覚の加速はまさにスポーツカーと呼んで間違いのないところだと思う。
野暮ったいインテリアはアメリカ好みか?
気になったのはインテリア。メインマーケットが北米である以上、仕方のないことといわれれば、それまでなのだが外観の斬新さと裏腹にインテリアデザインは見事なまでのミスマッチだ。北米で人気のBMW・XやメルセデスMクラス、ボルボXCのような洗練された部分はなく、アメ車的。それも二、三世代前のアメ車を髣髴させる。
センターコンソールのデザイン処理や古さを感じるステアリングホイールなど、野暮ったい印象なのだ。インテリアデザインとは別に、走り出し当初、大きく寝かされたAピラー、奥行きのあるダッシュボードに違和感があったが、ものの10分もすると、その違和感を忘れさせる運転のしやすさに気がつく。外観をみてもわかる通り、フロントノーズ先端部の見切りは取りにくいのは事実。しかし、信じられないだろうが、運転のしやすさがそれを解決してくれる。
SUVというと、どうしてもクロカンベースのクルマをイメージしてしまうがCX−7は、あらたなSUVイメージを強烈に植えつけてくれるクルマといっていい。まさにSUVイメージを一新する新感覚のクルマである。
アメリカものよりアメリカンなクロスオーバーSUV。発売開始と同時に予想外の売れ行きを見せている。どうやら、CX−7の登場により、流行のクルマの図式が塗り替えられるようなそんな気にもさせられる。乗せられて楽しく、運転して楽しい。しかも居住性を十分に確保。リヤシートも居住性にて不満はない。上質で気配りがなされたSUVということができると思う。クロカンの楽しさとは異質なこの種のクルマがトレンドリーダーになることを期待したい。
Written by 西村 光生 |
次回もお楽しみに! |
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