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第56回 スカイライン・クロスオーバー
四駆か、それなら仕方なかんべぇ!

 以前からスカイラインベースのSUVが国内販売されると、そんな噂が流れていた。 その噂は事実だった。 「四駆か、それなら仕方なかんべぇ!」とばかりに、御殿場周辺で行われた試乗会に出かけてきたる。 <続きを読む>

 
第7回 フォード エクスプローラー スポーツ トラック
どうなのだろうか、今どきの状況を考えるとすんなりと受け入れられるクルマかどうか、ちょいと考えさせられる。クルマとしては面白そうだが、1ナンバーの豪華なトラックである。だが、けして「お仕事用」という類のクルマではないのだ。
道楽で乗るには洒落たアメリカンスタイルでムードは満点。しかし、果たしてガソリンが高騰しているこの時代にV6の4リッターエンジンは、道楽が過ぎると、そんな印象は拭えないのではないかしら……。

ピックアップ好きにはたまらない1台か?
もう 15 年以上前、四輪駆動車がはやったころの話。ハイラックス4WD、ダットサン4WD.ファスターロデオ、フォルテ4WDなどなど、4WDピックアップトラックが一時的に人気だった時代がある。本来は実用的トラックなのだが、当時の若者はアメリカンを気取って、リヤベッドにオフロードバイクやモトクロッサー。サーフボードを積み、ピックアップライフを楽しんでいた。
あの時以来、ピックアップトラックを日常的に乗っている輩はほとんど見かける機会はなくなった。見かけるとすれば、それはテレビで流れるニュースの中。
アフガニスタンのタリバンや、ナンやらカンやらが、多分、日本がら輸出された中古の、かつては日本の若者にもてはやされていた4WDピックアップを兵士の輸送用に使われている姿だ。そんなニュース映像を観て、あの時代を思い出す程度である。
レジャー用としてではなく、荒廃した土地で4WDピックアップが本来の性能を発揮していることは、悲しいけれど納得してしまう。
さて、ピックアップトラックだが、日本ではお仕事グルマ。アメリカで親しまれているピックアップトラックとは似て非なる使われ方をしている。

バカに長いクルマだぞ!
前置きが長くなったが、フォードが日本に向けて上陸させたエクスプローラベースのスポーツ。トラックの話をしよう。
正面からみると、それはまったくフォードのSUV、エクスプローラーだ。ところが真横から眺めると、ダブルキャビン4枚ドアのピックトラックである。リヤの居住性を確保した上で、アメリカ的に表現すればショートベッドを架装するためホイールベースは425ミリ延長。そのために全長は5370ミリと、オーバー5m。ずいぶんと長いクルマとなっている。スポーツトラックをデザインしたのは女性だ。
その女性が小柄なのか大柄なのかは知らないが、リヤシートの足元は十分に広く、いわゆる日本サイズボディなら大人3人は余裕だ。
まさか、日本マーケットを意識してのことではないだろうが、かなりのロングボディである。最小回転半径6.25mは日本の道路事情では取り回しに無理を感じる。 
システム、メカニズムはエクスプローラーとなんら変わるところはなく、4WDシステムも4L、4H、ロックもワンタッチセレクト。室内装備は上級グレードのXLTそのままだ。追加されたベッドは樹脂製トノカバー装備。しっかりとロックができる。無論、トノカバーの着脱ができることはいうまでもない。
便利さでいえば、荷室が完全に独立していることで、従来のエクスプローラーより優れているといえる。しかし、クルマというのか、ピックアップに関して考え方の異なるアメリカと日本。
日本ユーザーがスポーツトラックをすんなりと受け入れるだろうか?
トヨタ製のアメリカ向けフルサイズピックアップを逆輸入してまで乗っているユーザーもいる。また、限定300台だかをタイから逆輸入し、たちまちのうちに完売となった三菱トリトンの例もある。だが、トヨタタンドラも、トリトンもかなりの特例であることをフォードは知っているのだろうか。それに、日本のピックアップユーザーは少数派であり、特殊なマニアだ。多分、フォードの思うツボとは行かないだろう。

粋がって3ナンバーで乗るってのも楽しいと思うけどね! 
フォードジャパンとしても、本気で日本販売を考えるなら、ベースがエクスプローラーであることにもっとこだわって3ナンバー登録可能にしなければ、スポーツトラックとしての魅力は失せる。意地悪な表現になるが、エクスプローラー・スポーツトラックは仕事で使えないトラックである。それに400万円もする1ナンバートラックというのもユーザーにとっては手が出しにくいはずだ。
使いこなし、使い倒すことでスポーツトラックは価値があるものだと思う。
走行性能、動力性能に不満はまったく感じない。なぜならエクスプローラーそのものだからだ。3ナンバーだ、1ナンバーだということにこだわらずに乗れるアメリカと、商用車と乗用車の違いが明確な日本。スポーツトラックを目の前にして、異文化を感じてしまった。
とはいえ、ピックアップマニアは注目すべき1台ではないだろうか。
久々に感じたアメリカン“KEEP ON TRAC‘N”である。

Written by 西村 光生

次回もお楽しみに!
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