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第9回 フリーランダー2
フリーランダー2に、真っ当な正常進化を見たぞ!
いやはや、どうにも驚いた。小ざかしい理屈は抜き、本当の正常進化を見せ付けられてしまった。フリーランダーはレンジローバーの弟分、ディスカバリーのさらに弟分に相当するローバーブラザースの末弟的な位置にあるクルマ。ところが、ところが。今までのフリーランダーイメージを払拭。別のクルマに生まれ変わってしまったのだ。
「これが新型フリーランダーか!」
新型フリーランダーを目の前にして、いきなり驚かされた。旧フリーランダーのイメージはまるで無い。がっしりとした骨格と、堂々としたボディデザインは、旧型とはまるで別物。コンパクトSUVとはいうけれど、その存在感は、フリーランダーと呼ぶことさえ考えてしまうほどSUVらしさが漂っている。
見る角度によっては「あれに似てないか?」「それにも似ている……」「何かに似ている!」と、それぞれに意見が分かれるところだと思う。
高級ブランドをそっくり受け継いだフリーランダー2はブランドイメージだけでなく、高級でタフなローバースピリットまで、もれなく受け継いでいる。そのタフさが存在感をより強調したいるといっていいだろう。
国内販売されるフリーランダー2はS(390万円)SE(460万円)HSE(530万円)の3グレードが用意されている。搭載エンジンは171kw(232ps)/6300回転のパワーと317Nm(32.1kg・m)のトルクを発生する直列6気筒エンジンを横置きで搭載。組み合わされるのは6速A/T。M/Tの設定はない。
直列6気筒エンジンの横置きというせいではないだろうが、全幅は1910ミリ。かなりワイドだ。全高1765ミリ、全長4515ミリ。ホイールベースは2660ミリ。
ちょっとセレブレティ。これだプレミアム・コンパクトSUV……。
試乗に供されたのはトップグレードのHSE。フルレーザーのシートを装備。ドアを開けて、室内を覗いただけで贅沢装備がわかる。
高めのアイポイントはSUVならではの広い視界を確保。座り心地のいいシートと手に触れるステアリングホイールはプレミアムを実感させる。室内静粛性も無論、プレミアムである。走りだして最初に気づいたのは、SUVらしくない反応だ。発進加速時、減速時。そしてコーナリング中など前後左右に揺さぶられることがない。それはまるで、一般的なセダンの乗り味といっていいものだ。ステリングフィールもSUV感覚ではない。アクティブセーフティとして多く装備されたテレインレスポンスの電子デバイスにより、従来型に比べて格段にレスポンスは向上している。いや、異質のクルマと言っても間違いではないだろう。このように記すと「オフはどうなのよ……」という話になるのは当然だ。
フリーランダー2をナめたらアカン!!
ローバーブラザースの一員である以上、オフの走りが悪かろうわけがない。フリーランダー2に装備されたテレインレスポンスには通常走行以外にオフロード専用の草、砂利、雪とスリッピーな路面。泥、深い轍。砂地用と走行パターンが設定されている。その操作はシフトゲート前方のダイヤルで選択できる。
走行路面に合わせドライブモードを選択するとドライバーはアクセルとステアリングを操作するだけだ。クルマは確実な駆動力を4輪に伝え、グイグイと走ってくれる。
それはまるでフルオートのコンパクトカメラが勝手にピントを合わせ、ストロボを光らせプロ並み以上の写真がシロウトに撮れるようなものといっていい。
テクニック不要でグイグイと走る。そして登り、下ってくれるのだ。
その走破力は副変速機を備えたレンジローバーやディスコ3に匹敵するといっても、まんざら間違いではないかも知れない。急斜面の下りで威力を発揮するヒルディセントコントロール。登り斜面の発進をアシストするグラディエント・リリースコントロールなどテレインレスポンスシステムがクロスカントリードライブで効果を発揮する。
「副変速機無しだろ!」と、フリーランダー2を侮ってはいけない。オンロードを快適に走った上で、オフにも強い。それがフリーランダー2なのである。
国産の同クラスSUVに比べ、車両価格はハイランク。何と言ってもターゲットユーザーは年間所得800万円から1300万円だという。いわばセレブ御用達のSUVといえるだろう。
まぁ、いいではないか。なかなかのできといえるSUVであることに間違いない。
追加情報を提供しよう。ランドローバーオ-―ナーがアウトドアライフとオフロードドライブを楽しむローバーEXという場所が山梨県早川町にある。興味のある方は
http://landroverex.comにアクセス。この夏にはフリーランダー2の生情報がオーナーから得られるかも。
Written by 西村 光生 |
次回もお楽しみに! |
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