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第16回 ギャラン フォルティス
「まだ、売っていたのか!」と思う反面「消滅したんだろ?」と、ギャランという名を耳にしたとき、少々、複雑な気持ちになってしまった。
さて、そのギャラン。調べてみると、市場からその姿を消したのは05年中盤のことだ。同時にディアマンテというセダンも消えた。ところが、この8月、三菱自動車はギャランを復活させた。
まるで陸上競技、短距離走選手のスタートを思わせる、そのフォルム……。
そのスタイリングというか、エクステリアデザインは相当、戦闘的に映った。フロントは低くて長め。ボディラインはリヤに流れるに従い高め。それでいてショートデッキ。
真横から眺めたスタイルは、新記録を樹立したジャマイカのパウエル選手の頭を低く構えたスターティングフォルムを彷彿させ、なるほどいいだ。だが、同時にどこかで目にした印象が、フツフツと蘇る。
ギャラン・フォルティスの顔。それはまさに、旧型ギャランのイメージを引きずっている。はやりの表現をすれば成功したプチ整形といったところだろう。
たまたまではあるが、近所にギャランのワゴン、レグナムを所有しているヒトがいて、言うなれば「見慣れた顔」であり、その進化が見て取れた。確かにギャランの顔である。
早速、室内に収まってみる。室内静粛性は見事。エンジンがかかっているのか、止まっているかもわからないほどだ。音と同時に振動までキッチリと遮断されている。インパネ回りはギトギトした装飾の多すぎる三菱車的デザインではなくすっきりとしている。装飾が目立ちすぎるセンターコンソールを無視したサッパリ系にまとめられているのだ。
かなり「イケイケ」ムードの動力性能。
試乗したのはスポーツ・ナビパッケージ。売れ筋と踏んだグレードである。113kwのパワーと198.4N・mを発生する2リッター4気筒エンジンとINVECSV6速スポーツモードCVTが与えられ、18インチタイヤを標準装備している。
エンジンレスポンスはクイックで滑らか、アクセルのオン、オフに小気味いい反応を見せてくれる。それにスポーツモードCVTの反応が素晴らしい。シフトアップ、シフトダウンに素早い反応を見せる。シフトレバーにしろ、パドルシフトにしろ、操作からまったくタイムラグがないのだ。「まだ、アップしない」「まだ、ダウンしない」というテンポのズレによるじれったさを一切感じさせない。F1マシンを運転したことは、残念ながらないけれど想像の中でF1を思わせてくれると言っていいかもしれない。極端な表現になるかもしれないが、マニュアルミッションよりはるかに優れたスポーツモードCVTを通関させられてしまった。ハイレスポンスなエンジンとスポーツそのものの6速CVTを駆使することで、ギャラン・フォルティスはイケイケムードの走りを堪能することができるクルマだと言っておこう。
個人的な意見を述べるとするなら……。
あらためて試乗を終えて、フォルティスを眺めてみると、どこかで目にした印象がクッキリと頭に浮かんだ。アルファロメオを4ドアセダン、159を思わせたのである。
「どこが、どう……」というわけではないのだが、全体的なシルエットが似ていると感じた。走り去るフォルティスのリヤコンビランプなど、アルファのハッチバックを連想させるではないか。走りの雰囲気など、まるで違うデザインで159をパクったのではないだろうかと、そんな気にさせられたのである。
さて、ギャラン・フォルティスだが、極上とまではいかないが、上々のデキだと踏んだ。ギャランの外国名は何故か、ランサー。と、いうことは、次期ランエボはこのギャラン・フォルティスってことになる。ハンドリングやらボディ剛性、サスペンションなど、基本的な部分のデキはいい。と、すると、次期ランエボはかなりハイポテンシャルな十分な戦闘力を備えたラリーマシンとなるのだろうか、ちょっと期待したいものである。
ギャラン・フォルティス。チョイ悪オヤジどころか、相当な悪党オヤジ、遊び人風オヤジにも似合うクルマのような気がするけれど、どんなモンだろうか……
Written by 西村 光生
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次回もお楽しみに! |
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