第21回 スカイラインクーペ370GT
クーペの扉を開けてくれ!
スカイランインという車名は団塊の世代、根強いスカイラインファンにとって、ともに成長したという思い込みが強い。
モータースポーツが何であるか。GTとはどういう意味かを教えてくれたクルマである。
メタボではないらしいぞ新型スカイラインクーペ
そんな若かりし頃に気持ちを戻してスカイラインクーペを眺めると、なんとも大きなクルマになったものだと思う。
全長4,655mm、全幅1,820mm ホイールベース2,850mm。初代のスカイラインS54に比べると、何をいまさらほざいていると言われそうだが、ふた回り以上も大きい。特に全幅は初代に比べ300mm以上も大きいのだ。
「ひょっとして、これはクルマのメタボか?」と、そんな気にさせられた。
日本に、クーペのときめきを……。
そんなキャッチフレーズがTVCMで流れる。
「なるほどスカイラインのクーペか、悪くなさそうなクルマだな」と、画面に引き込まれるスカイラインファンは少なくはないだろう。
スカイラインクーペに与えられているエンジンは245kwのパワーと367N・mのトルクを発生するV6。マニュアルモード付5A/Tと6速マニュアルが設定され6グレードが設定されている。
走行性能は完璧な大人味
室内はスポーティさが強調され、走り好きな人間を多いに刺激してくれる。ボディの大きさに伴い、室内は見た目以上に広く、リヤシートの乗降性にも気を配ったデザインだ。
エンジンをスタートさせる。遮音効果が高く、同時に振動も抑えられ快適な空間であることに納得させられる。
車両総重量はどのグレードも1,800kgオーバー。果たしてメタボと感じたクルマがどんな走りをみせるのか……。
低回転域から立ち上がるトルクは力が溢れている。グイグイと力強い加速を見せる。その加速は車重をまるで意識させない。4人乗車でも、その走りはどっしりとした印象を与えながらも軽快だ。これこそ、正にグランドツアラーという、運転に疲れを感じさせない走行性能を見せつける。
スカイランファンは驚喜するぞ、今度のクーペは……。
なるほど、スカイラインクーペか、いい感じのクーペではないか。スカイランファンを驚喜させる1台だと思わされた。
友人にハコスカ以来、歴代スカイラインを乗り継いでいる男がいる。
ハコスカ時代に結婚し、子供を育て、孫もいる。
「女房と二人のドライブなんて、何年もしてないよ……」
こういうスカイラインファンが、若い日を思い出しながら夫婦でドライブ……。そんな情景が似合いのクーペではないかと思わせる1台だった。
Written by 西村 光生
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