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第56回 スカイライン・クロスオーバー
四駆か、それなら仕方なかんべぇ!

 以前からスカイラインベースのSUVが国内販売されると、そんな噂が流れていた。 その噂は事実だった。 「四駆か、それなら仕方なかんべぇ!」とばかりに、御殿場周辺で行われた試乗会に出かけてきたる。 <続きを読む>

 
第26回 スバルフォレスター
 すでに、デビューから10年。レガシィの弟分といっていいのか、それともインプレッサの兄弟分なのか。フォレスターは兄に頭を押さえられ、兄弟から突き上げを食らい、これまでは中途半端な立場だったような気がする。  3代目として登場したニュー・フォレスター。どうやらここにきてSUVとしてのオリジナリティを身に付けたと、思わせてくれた。しかし、どうにも、その存在感が今、一歩。  どこが悪いというわけではないが「絶対にフォレスターだ」という、魅力が……。

もっと、アピールしてほしい。CMの「ちょっと、やり過ぎ……」ぐらいにね!

 フォレスターのデビューは97年。ちょうど10年前。へビィデューティな四駆の人気にかげりが出て、ライトクロカンと呼ばれたクルマに人気が移行した時代である。  武骨な四駆より乗用車感覚の四駆。クロカンがSUVと称されたころである。  スバル伝統の水平対向4気筒エンジンとレガシィで鍛え上げられたシンメトリカル4WDシステム……。元々がセダンベースであり、ライトクロカンと呼ばれるクルマの中でも、その出来上がり加減は上々。ところが、 フォレスターの基本性能の高さと裏腹に、人気はイマイチ。その原因はエクステリアのデザインにあったと、個人的には思っている。  大きな括りでいうなら4ドアのハッチバックとして平凡。クルマの顔であるフロントは、どこか旧共産圏的で、当時、ライバルと見られたエスクードやRAV?4に比べ、その存在感が薄かった。言い方を変えれば目立たない、地味な存在のSUVだったのだ。  デビュー後10年、フォレスターは3代目となって登場した。  目の前に現れた新型フォレスター、最初に目を引くのは最低地上高の高さ。グレードによって違いはあるが+15ミリから+20ミリ。XTだと225ミリの地上高だ。クロカン並かそれ以上の数値、そのせいなのかクルマが逞しくみえる。  またボディスペックも旧型より一回り大きく全長で+75ミリ。全幅は+45ミリ増である。このあたり、やはりアメリカマーケットを見据えてのことだろう。

注目は新エンジン

 フォレスター専用に開発された2リッターDOHCながらレギュラーガソリン仕様。148psのパワーと19,5kg・mのトルクを発揮。この時期、文句なしに嬉しい配慮といいたい。吸気AVCS、新設計インテークマニフォールド、等長等爆エキゾーストシステム、ツインマフラーの採用と燃費向上に繋がる新開発がテンコ盛り。それでいて低、中速トルクに優れ扱いやすく、同時に10・15モード13,8km/Lを実現。それもライバル諸車がCVTや多段化ATを備えているなか、4A/Tでの実現である。5M/ Tに至っては14、0km/Lと大した数値だ。  その一方、ハイグレードモデルに搭載されるターボエンジンは空冷インタークーラーを備え、230psのパワーと32,5kg・mを発生しつつ、13、0km/Lと、低燃費を達成した。  

全域でトルクフルな走りは「大人好み!」

 NAエンジンにしろ、ターボエンジンにしろ、その走り、加速はしっとりと大人好みだ。特にNAエンジンは市街地走行での加速感に機敏さがあり、モタつきがなくアクセルワークにしっかりと反応してくれる。実にトルクフルなエンジンに仕上がっている。発進加速から、市街地での常識的な速度域まで、ドライバーにストレスを感じさせない加速感を披露する。高速域の加速にしてもオーバー100km域までスムーズで小気味のいい走りだ。さらにフロントトレッドの拡大でタイヤ切れ角が増したことで、拡大されたボディサイズを意識させないというのも嬉しい配慮と言っておこう。  ターボエンジンモデルはターボを強く意識させるというより、力持ちのクルマであることを実感させる。低、中速域の加速感は逞しく、スポーツ感に溢れている。レガシィに採用されているSIドライブは、時として大人を忘れさせる毒となるが、それなりに刺激的。しかしインテリジェントモードで十分に満足できるものだと言っておこう。

SUVの王道を行くクルマだと思うのだが、イマイチ、影が薄いのは何故だ?

 エンジンフィール、居住性、機能は必要にして十分。SUVこそ、優れたファミリーカーではないかと、実感させてくれるフォレスター。どこが、どうというところは全く感じない。  広くて余裕十分な運転席は視界も広く、運転のしやすさに貢献しているし、リヤシート周りは足下もヘッドクリアランスも十分だ。ドライブトレインの装備されるアクティブトルクスプリット方式は常にベストな4WD走行を提供してくれる。  それこそ「どこかに文句があるか!」と、開発の技術陣は思っているに違いない。しかし、それは作り手側の自己満足ではないのだろうか。ニューフォレスターは装備、性能、機能のどこをとってもズバ抜けた性能であり、ライバル視されるクルマと比べても、一歩も引けをとってはいない。ところが、何故だか、10年前のデビュー当初から高い注目を浴びないのである。日産エクストレイルは若者にターゲットを絞っている。トヨタのRAV?4は団塊の世代にアピールしている。この線でいけば、フォレスターは確実に若者層と団塊の世代層の中間に食い込めるクルマだと思う。SUVの王道を行くクルマでなければいけないはずなのに、存在感と影が薄いのだ。  これぞフォレスター。スバルの自信作という魅力を前面に出して欲しいと思うのだが、いかがだろうか!

Written by 西村 光生

次回もお楽しみに!
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