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第31回 プジョー207SW
プジョーと聞いて何を思いだすだろうか。ちょいと洒落たフランス車。粋だなぁ……。
プジョー207のワゴン。ところがワゴンという呼び名が不似合いな洒落たクルマだ。ワゴンというより4ドアハッチバックといったほうが、このクルマには似合いだと思う。
見るからにフランス的なデザインが全面に押し出され日本車のワゴンとは一画を隔てる、見た目格好のよさが感じられる。特にリヤゲートからコンビネーションランプ、リヤクォーターウインドの処理は見事だと思う。いわゆる「お仕事感覚」を全く感じさせないからだろう。
「いいんじゃないの、このワゴン」と言わせしめる魅力を秘めていると思う。
室内、特に前席は十分な余裕が確保され、外観の見た目以上の広さ確保されている。リヤシートは、ヘッドスペースに多少の辛さを感じさせるものの、身長180センチの人間が苦労することなく座れる空間が確保されている。リヤドアを開けた第一印象で「狭い」と感じさせるものの、実際に腰を下ろしてみると前席のシートバック後方が深くえぐられていたり、ヒップポイントが高めに設定されたりと、工夫の跡が随所に見られる。リヤシートからの視界も広く、相当に研究された空間が確保されているといっていいだろう。
さて、ワゴンというからには、肝心な部分であるリヤの荷室。奥行き、幅とも満足できる広さだ。それにリヤシートを畳み込むと2シーターのスポーツワゴン的な使いかたも可能だ。
荷室フロアにはタイダウンフックとゴムネットが装備され荷物の固定に不満はない。
室内をじっくりと見回してみると、フランスならではの合理主義というのか、きわめて合理的に完成されたコンパクトワゴンとしてまとまっていることに納得させられる。
はてさて、その走りは如何なモノか! 周囲を「いいなぁ……」と言わしめる乗りこなし、それで付き合い、走って欲しい。
形がどうの、スタイルがどうの。これはクルマ好きがクルマを目の前で「アーだ、コーだ」と、好き勝手を並べ立てるタワゴト。
クルマを趣味の対象と見るか、それとも実用として判断するかによってタワゴトの内容も違ってくる。4ドアハッチバックと判断したのは、ワゴンという実用重視のクルマとは思えないほど、洒落ている部分が気になったからである。
最初に、その動力性能をいうなら120ps1,6リッター4気筒エンジンの4速ATとしてはそれなりの力強さを感じさせてくれて、箱根の山道で元気な走りを披露してくれた。ところが問題は燃費。日常的な使い勝手、ドライブでどの程度の燃費か、これは気になる。
一方、207SWには175ps、1,6リッター4気筒ターボエンジン、5速マニュアルも設定されている。スポーティでマニアックと言える1台ではあるが、実用的なワゴンとして眺めてみると、すんなりと受け入れていいものかどうか、頭をひねる。
この先、ガソリン価格が高騰しないのであれば、そこそこ面白くて便利なクルマだと思う。
ワゴンとかっこよく付き合い、乗りこなすのは難しい。それにフランス車である。ヤボとヘボでプジョーのイメージを傷つけることだけは、やめてくれ……。
Written by 西村 光生
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次回もお楽しみに! |
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