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第56回 スカイライン・クロスオーバー
四駆か、それなら仕方なかんべぇ!

 以前からスカイラインベースのSUVが国内販売されると、そんな噂が流れていた。 その噂は事実だった。 「四駆か、それなら仕方なかんべぇ!」とばかりに、御殿場周辺で行われた試乗会に出かけてきたる。 <続きを読む>

 
第35回 ニュー・ジープ・チェロキー08モデル
普通のSUVになっちまった普通のチェロキー。

 チェロキーとはネイティブ・アメリカンの一族の名称だ。賢くて勇気のある部族だったいう。 そんなところからジープのワゴンにその名が冠せられたのだろう。 独特のタフさ、力強さがチェロキーの特徴だったはずだが、 何だか去勢された狼がいるかどうかはしらないが、そんな雰囲気がチェロキーの周囲に漂っていた。
 
 「ジープは4×4の元祖か祖師か。それとも本家?」  SUVだの、4×4だの、はたまた四輪駆動車だのと、騒いでいるがジープは元祖クロカン。 せんべいの名所(?)、埼玉県草加市ではとある場所にせんべい屋が軒を連ね 「うちこそせんべい屋のナンバー・ワン」と看板を掲げている。 「元祖」があって「本家」がある。 「本店」があれば「支店」があって、凄いのは「祖師」まである。 と、このセンを辿ればジープは四輪駆動車の祖師ってこと。元祖の上だ。
 そこで新登場のチェロキー。 新型となって日本上陸を果たしたのだが、残念ながらジープならでは逞しさが感じられない。 どことは言えないのだがユーザーに媚びてしまった印象が拭えないと、そんな第一印象を受け取った。 野生を忘れ人間の媚びた狼がいたらそれが新型チェロキーに一番近いかも知れない。 但し、そんな狼はいないだろう。
 さて、外観だがオリジナリティを継承していると、作り手側が強調する縦7本スリットのラジエターグリル。 クロームメッキでギラギラ。 ジープのグリルといわれれば、なるほどと思うが、いわゆるジープのお面という感じはない。 ただ、ボクシーなラインでまとめられたボディデザインはコマンダーに似ていると、それだけだ。

上質な走りはラグジュアリーSUV、オンもオフも誰もが安心して楽しめる
 「背の高い上質なステーションワゴンだな」走りだしてすぐに感じたチェロキーの乗り心地と操縦安定性。 いわゆる四駆らしさが感じられないのだ。 異質なジープといいたくなるほど洗練されてしまったようだ。 古くからのジープファンにとって寂しい気持ちになるが、仕方がない。 クライスラーが商売のためにしたことである。 売らんがための身売りのようなものと言っていいだろう。 その証拠(?)にオンロードの走りは快適そのもの。 フロントにウィシュボーン、リヤに5リンク/コイルスプリングを配した足はしなやかな乗り心地を提供する。 しかも高い静粛性はアメ車らしからぬ乗り味だ。
  一方、オフロードに入ると標準装備のセレクトレックUトランスファーが威力を発揮する。四輪のうちのどれかが空転する以前に空転を察知して防止するアクティブ・オンデマンドシステム。初心者はアクセルとステアリング操作に集中していればいいのだ。さらに4Lモードでは急斜面の下りでブレーキアシストをするヒルディセントコントロール、坂道の上りで有効なヒルスタートアシストが作動。だれでも簡単にオフロードが極められるメカニズムが与えられている。

 あまりのイージーオフローディングでは自信過剰に気をつけ!
だいぶ以前の話だが、CJ-5の時代。 悪路走破性が高く、誰も簡単にオフロードに入れることが裏目に出て、 初心者でも戻れなくなってしまう場所まで行ってしまえることが危険な行為と、 CJ-5に年齢制限のようなオフレが出たことがある。 あまりのイージーオフロードドライブができてしまうチェロキーをドライブして、古い話を思い出してしまった。
 太いトルクと有り余るパワーを引き出せる3、7リッターV6はカタログデータの10−15モードが7,1km/L。 数値としては悪くない。 だがしかし、ガソリン価格急騰のこの時代である。 何をさて置いても、絶対に欲しいクルマかと問われると残念ながら素直に首を縦に振れないクルマということになるだろう。      

Written by 西村 光生


次回もお楽しみに!
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