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第39回 日産・ティアナ
「もてなされたい気分の時はあるものだ……」
「おもてなし……」ってことは「うらばかり……」ってことなのか。そんなことはどうでもいい。
日産の贅沢仕様セダン、ティアナが5年ぶりのフルモデルチェンジされた。
そのテーマが「おもてなし」なのである。
おもてなしとは、「装い」「しつらえ」「振舞い」の3つだそうである。
フロントより、リヤシートの居住性が素晴らしいと思う。
新型ティアナの見た目は、それほど新鮮な印象は受けない。
いわゆるキープコンセプトという、アレである。
クルマがそこそこ売れていれば、大胆な変更はしないというものだ。
エンジンは2、5L,3、5Lの2タイプだが、2、5Lに新エンジンV6(CVT)が加わり、
以前の直6は4WD用に設定されている。
エンジンよりも新型ティアナの売りは、その装備。あくまで「おもてなし」である。
室内に収まってみると、その雰囲気は悪くない。
肌に触れる部分、視界に飛び込んでくる部分が、良い感じで「上質」だといえる。
シートのフィット感、着座感はフロントシートより、リヤシートが気に入った。
ファーストコンタクトはちょっと硬め。
ところが、本気で腰を下ろし、シートに身を任せるとソフトな印象になり、
そっと背中と腰、腿を包み込む雰囲気に変わる。
やんわりと身体をホールドするのだ。
力のある男が、そっと女を抱え込むとき、こんな感覚に捕らわれるかもしれない。
残念ながら、男は男に抱かかえられた経験がないので、
この表現はあくまで、想像の域を出ないが悪いものではないだろう。
特にオーテック仕様のモデルは操縦安定性とハンドリングがいい感じ
さて、走りっぷりというのか、その乗り心地。
今のクルマは正直いって欠点や弱点を探すほうが難しい。
ただひとつ言えることは「もてなされている」と感じることだ。
この感覚はフロントシートの助手席よりもリヤシートのほうが強く感じる。
助手席にはオットマン機構などが装備され、なかなかの贅沢さを感じさせる。
それのシートそのものも、剛性感に溢れ信頼できるホールド感を痛感させる。
多分、通常のクルマであれば、乗り心地や座り心地の評価はフロントシートに限られるだろう。
ところが新型ティアナに限っていえばリヤシート及び、その足元の余裕は乗せられる側にしてみれば、
十分にもてなされた感覚になってしまうと言っておこう。
「ウム、悪くないね、今度のティアナ……」と、素直の評価したいところだが、時代が時代である。
環境や省エネのための一ひねりが欲しかった。
最低でもアイドリングストップ程度の、
環境と省エネを考慮した装備でもあれば「おもてなし」と肩を並べる
「気配り」を訴えることができたのではないかと思う。
※
「おもてなし」を考えながら、試乗を終えたとき、個人タクシーの旧型ティアナとすれ違った。
何故か、妙に引っかかった。
それはもしや、頭の中で居酒屋タクシーのサービスが過ぎったのだろうか。
それはどうにもらからない。
人の頭の中は様々なものが渦まいているから、自分でわからないことって、沢山あるものだ・・・。
Written by 西村 光生
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次回もお楽しみに! |
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