| |
|
第51回 BMWニュー7シリーズ
だれが言ったか「金持ちの下駄」
そして、これまた誰が言ったのか「飲み屋で通じる名前のクルマ……」
BMWは3シリーズが一時、六本木のカローラと呼ばれ、5シリーズが何だっけ?
とまぁ、日本人には人気の輸入車だった。この不景気が日本列島を襲う前まで、
宣伝なしで黙っていても売れるクルマだった。
そんなことから、評論家を相手にした試乗会でも、いわば限られた人間だけに、
優先的に試乗会への誘いがあった。ところが今回、
どうしたことか、輸入車など専門ではない下級武士にも試乗会へのご招待がきたのである。
「驚かしてやろう」と、いうBMの作戦にひっかかりはしないが、恐ろしい上質感。
馴染みのクルマ修理屋の親父さん。
「売れねぇな、中古車も……」と、ボヤいた。
今、中古車と言えばオークション。そのオークション会場でも商談成立の数は激減している。
「人気だったメルセデスやアウディ、ビーエムなんざ、軒並みゴミとはいわないまでも価格は暴落。
気の毒になるくらいだけど、売れねぇよ……」と、そんな話。
そんな中、ニュー7シリーズの国内販売が開始された。
通常、あまりエンのない自動車評論家まで招待するということは、
ほんのわずかでもいいからクルマを露出させたいのか、クルマ雑誌なら中古車専門誌であろうと、
ゾク相手の雑誌だろうと、改造専門の雑誌だろうと、何しろ多くの雑誌やら新聞に掲載してもらい、
わずかでもいいから販売台数を伸ばしたいと、そんな根性が見え見え。
それをわかって、箱根の小田急、山のホテルまで、まぶだちと一緒にノコノコでかけた。
事情はどうあれ、斜陽の自動車評論家として生活している以上、乗っておかなければならないクルマと、
業界スズメはいうのだが、果たして本当なのかな……。
ニュー7シリーズは見た目にも堂々として、思わず仰け反ってしまった。
いかにも「高いクルマだぞ」と、そんな妖気がクルマ全体から噴出していた。そんな風に思えた。
その見た目の第一印象は間違いではなかった。
軽く1千万エンを超えるクルマなのである。
試乗の順番が廻ってきて、運転席乗り込むが、高価格のクルマだけに正直いってビビる。
それにエンジンえ始動させる方法に迷い、オートマチックミッションの扱いが要領をえない。
Pレンジから、どうすればDレンジにシフトできるのか。
パーキングブレーキの解除方法はと、それはもう、勝手が違うのだ。
走りだすまでの操作のひとつ、ひとつが従来のクルマと違うと痛感させられた。
とは言え。芦ノ湖スカイラインに乗り出す。「結構、大きなボディだ……」これが走り出してまもなくの印象だ。
車両感覚に慣れたころ、アクセルを踏み込んでみると、その加速は強烈だ。
「やはり、こういうクルマを望んでいるセレブレティは世界中にいるものだ」と実感した。
ところが、ニュー7シリーズは、かなりの省燃費。
燃料をガバガバと無駄食いしない。
無駄にアクセルを開けない限りは……。
例えていうなら「バカぢからの強心臓だな!」
搭載されているエンジンは3リッターの直6と4,4リッターのV8の2種類。
3リッターエンジンガソリン噴射と2個のターボの組み合わせで先代エンジンに比べパワーで7%、
トルクで15%の向上を実現。最高出力326ps。
最大トルク45、9kgmを発生する。
その上、ブレーキング時に発電して、それをバッテリーに蓄えるメカニズムを搭載。
これらにより燃費は7、8km/Lを実現した。
一方、4、4リッターV8は最高出力が407ps。
最大トルクは61、2kgmを発生する。動力性能は両モデルともすべてに圧巻。
3リッターモデルで1010万エンからという価格はステアリングを握る人間に不満を言わせない
魅力と実力がある.
人生の成功者の贈る「金メダル」ってか!
7年振りにフルモデルチェンジを受けたニュー7シリーズが見た目の高級さと同時に室内も贅沢三昧だ。
はっきり言って、乗車時の服装にも気を使わねばならないだろう。
精々、見分けのつけにくいブランドのアウトレットものが最低条件ではなかろうかと、そんな気にさせられた。
さて、ニュー7シリーズだが、オーナーになる人間を十分に満足させる味わいが溢れでている。
どこが、どうというわけではないが、室内に入った途端「俺は成功した。
人生の勝ち組だ!」と、それを痛感させる何かがある。
因みに価格は3リッターモデルが1010万エンから1080万エン。
4、5リッターモデルは1200万エンから1330万エン。
これにオプションだ、ナンだを装備すると天井知らずになるころはいうまでも無いだろう。
Written by 西村 光生
|
次回もお楽しみに! |
|
|
|
|