第52回 アルファロメオ ミト 1,4ターボスポーツ
「こいつは久々に、おもしれぇクルマだ」
30年ほど前、アルファのオーナーだった人間にしてみると、その何十年か前の、
アルファテイストの一部を味わえたクルマだった。
もう、これは「アルファがどうの、その歴史がどうの」と、
一応の能書きというか、薀蓄など披露してアルファロメオを知識をひけらかす無駄な悪あがきなど御免こうむりたい。
いいんだ、その走りのフィールがね……。
ミトとはアルファロメオのルーツであり、ミトがデザインされたミラノ。そして生産拠点であるトリノ、
それぞれ都市の頭文字を組み合わせて車名にしたという。
さらにミト(MITO)はイタリア語で神話や伝説を意味するとプレス・リリースに記されていた。
いつのことだったか、アルファがFFになり、以来、アルファに対する興味が薄れていた私であるが、
誘われるまま、箱根の試乗会に出かけた。
そこで対面にしたミトだが、
アルファがFFになってから変わらないスタイルに「どうせ、同じじゃないか」とタカを括っていた。
ところが走りだすと、思わず「ちょっと待ってくれ」とつぶやいてしまったのだ。
それは、低回転域かた発生する力強いトルク、そして高回転までスムーズに吹き上がるエンジン。
そして何より粘っこいリヤサスの動き……。
これはまさに、昔のアルファテイストを現代に進化させたものではないだろうかと、
そんなことが頭を掠めたのだ。
こいつはいい。いや、いいというより、そうとうなワザモノではないかと思ったのである。
エンジンは直4の1、4リッターDOHC16バルブ。ラッシュアジャスター付。
それにインタークーラーターボが付く。
144kwの最大出力と201N・m。
そしてダイナミックモードを使ったときには230N・mを発生する。3000回転でトルクピークだから。
それ以下のエンジン回転でしっかりとしたトルクを発生しているわけだ。
これで車両重量1220kg。数値からみても、
しっかりとスポーツの名に恥じない走りを披露してくれるというわけだ。
「嫌味のないインテリアにイタリアデザインのしゃれが……。」
見やすいメーターパネル、操作優先のスイッチ類のレイアウト。
これらが、上手い具合にデザインされて「なかなかやるね、イタリアも、シャレているよ」と言いたくなる、
コじゃれた室内が完成されている。
ファッションに気を使う若い女性なら「ワー」とか「キャー」とか「かっわいい!」と、多分、言うと思う。
しかし、そんな年代の、ガキ感覚の女には絶対に似合わない。
多少、アルコールを嗜み、シャルルジョルダンの靴をさりげなく履きこなす、そんな女には似合うと思う。
ところが、ミトは6速マニュアルの設定しかない。
早い話が、そこそこのいい女でも、あの「オートマ限定」という免許では運転することが出来ないのだ。
ある意味「ざまぁ、みろ!!」というクルマでもある。.
「運転席に座って、走ってみなければMITOのよさはわかるまい」
「ヨイショ」でも「社交辞令」でも「お世辞」でもないが、もし。
アルファロメオ MITOに興味がでたら、どこかのショールームまで足を運んで、
クルマに触れてみることだ。ここでオッサンが何を言っても書いてみても、現物をみることが一番だと思う。
オッサンの話が嘘か本当が、それを確かめに行ってほしい。それで、結論を出すのが一番だろう。
自分がMITOに似合うかどうか。これを男友達の目で確認してもらう。
正しくはアルファロメオ ミト 1,4ターボ スポーツと長ったらしい名前のクルマだが、
希望小売価格は消費税込みで2百85万エン。払えるか、払えないかは自己判断。
最後に問題は運転免許。まさか、あなた、オートマ限定ではないでしょうな。
もし、そうなら残念ではあるが、諦めてください。
Written by 西村 光生
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