第4回 初インド、空港にパパイヤの香りはしなかった。
インドに出かける準備は着々と整った。インド大使館でビザをもらった。
参加が決定すると、イスラエルから高飛車な連絡が入る。
「ユニフォームを用意するからサイズを教えろ!」
「零下二十度対応の寝袋を用意しろ!」
言われるままに、準備を整えた。
最高ランクの羽毛寝袋を含む、キャンプ用品の一切合財をリュックに詰め込み、成田に向かう。
機上の人となった。日本航空のデリー直行便。これがインド航空機であれば、いきなりカレーの匂いに迎えられることだろう。
しかし、日航機は。その匂いの片鱗もなく、あくまで味噌、醤油である。
客室乗務員は、みな日本人で、アイソ笑いで迎えてくれた。
成田を発つと、その先が長いの何の……。
夕方、ニューデリー国際空港に到着した。
だれかの小説で、ニューデリーの飛行場は甘いパパイヤの香りがする……。 というようなことが書かれていたことを思い出した。
しかし、パパイヤの匂い、香りはしなかった。
それより、インドは暑いという言葉を信用していたオレには「意外と涼しい場所」に思えて、パパイヤの香りは頭から吹っ飛んでいた。
コンクリートと大理石で作られた空港ビルはひんやりとしていたのである。
入国審査を終え、手荷物を受け取る。
怪しいインド人が近づいてくる。見るからにインド人だ。ターバンこそ頭に巻いていないが、インドネシア人では断じてない。
「ナマステ、ウエルカム、インディア……」
「東京カラ来マシタネ。 いすらえる人ノ冒険どらいぶニ参加シマスネ……」
そんなことを英語でいうと、用意したクルマに連れて行かれる。
空港ビルから一歩、外に出ると、やはりインドは暑い。
いきなり汗がどっと噴出す。
「冗談じゃネェよ。俺は爺少年だ」
とばかりに、二つ、三つ返事で話に乗った。
ところが、これまでイスラエル人と口を聞いたことも、つきあいもない。
イスラエルか…
場所は地中海の一番奥。
パレスチナ自治区とユダヤ教vsイスラム教の宗教紛争を起こしている国だ。
そのイスラエル人と共に、多宗教国家であるインドを走る。 しかも、走る場所はインド北部。
ここでインドは、隣国パキスタンと国境を巡って紛争が起きている。
さぁて、どうなるのか……。
<続く>
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